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2013年6月4日

2013年6月 4日 (火)

ジブリ汗まみれ立花隆さんの回【後編】を聴いて思ったこと

スタジオジブリの皆々様,とりわけ鈴木敏夫さんへ

下記を聴いての感想です。

■2013/06/03 『ジブリの教科書1 風の谷のナウシカ』でナビゲーターを務めて頂いた立花隆さんをお迎えして。【後編】
http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol271.mp3

宮崎駿さんのナウシカ漫画版を,庵野秀明さんが監督したいと言っていた聞き,私も観たいと思いながらもそれでいいのかとも思います。
庵野秀明さんは人生において,巨神兵ばかりをテーマにしていたとも言えるようですが,それで本当にいいのかと思います。

もちろん宮崎駿には到底追いつけないと最初から考えているからこそ,庵野さんはそういう考えになると思うのですが,私が仮に作品を作る機会があるとすれば,折角ならば宮崎駿を超えてみたいと思います。

宮崎駿を越えたいと思って宮崎駿の作品を見渡すと,風の谷のナウシカのようなまったく架空の作品もあれば,となりのトトロのような,ちょっとファンタジーが入っているけれども基本的には現実を描いているものもあります。
耳をすませばなんてさらに現実的でしょう。イメージシーン以外は実写でも可能と言っちゃ可能です。
雫が塀をよじ登るシーンとか,実写では意外と難しそうなものもあるので完全再現はできないでしょうが,CGなどを実写に織り交ぜて使うなどしての実写化も可能とは思います。(宮崎さんがあまり好まない方法とは思うのですが)

庵野さんはもっと違う作品を作りたい作りたい欲求はないのでしょうか。
Wikipediaでいま調べたら,庵野さんが原作をされたのはエヴァだけなんですね。
庵野さんは新しいことがやってみたいタイプの演出家ではないようですね。
私ならば,庵野さんクラスの知名度を得られたら,さらに頑張って,もっと違うことがやってみたいと思うのですが。

たとえば私は,もっとカリオストロの城のような,コミカルでかつ熱中できるような作品が観たい気がするのです。
然るに,いまのアニメは私がちょこっと観た印象では,やたら暗くシリアスであるイメージがあります。
アニメヲタクの心の闇を表しているのではとさえ思います。

そして,そのシリアスなところから突然コミカルに・・・というよりもつまらないネタで笑わせようとしすぎと思います。
エヴァでもそういうのを感じました。
記憶にあるのは,ミサトの家にいるペンちゃんがビール飲むだかなんかするシーンです。
笑うもなにもそんなのありえるかよ!なんて思った記憶があります。
もっと素直にあっけらかんと笑えるストーリーが欲しいと思うのです。

たとえばカリオストロの城の冒頭で,ルパンと次元が札束をいっぱい盗んできてフィアットの中で札にまみれるシーンがありますが,ああいうのは,ドーラ風に言うと,泥棒が札束にまみれてどこが悪い!ってカンジで素直に観られると思うのです。
ところが,ペンギンがビールを飲むなんて,意外という意味では一瞬笑えるかもですがリアリティがまったくなく,この物語の世界観はなんでもありなんだな,と思って,白けて世界観に浸れない気がします。
ルパンの例だと世界観に浸れますもんね。(ルパンの大ジャンプはちょっと怪しいギリギリのところと思いますが。)
そういう,世界観に浸れるストーリーを最初から最後まで作れる人間ってそうそう多くないと思っています。

とはいえ,宮崎駿さんだって,新しいモノを目指して怪しいモノを次々と出されてきており,もののけ姫以降世界観に浸れないストーリーになってしまったところもあると思います。
アシタカが心臓を射抜かれてさえも生きているとか,私にはどうしても受け入れがたく思えるのです。

立花さんは,宮崎駿さんは映画の基本論法であるグッドガイ,バッドガイという概念を崩したということを非常に褒められていますが,私はそれほどすごいこととは思いません。
グッドガイ,バッドガイだけでないなんて,現在のアニメでは珍しいかもですが,単館系作品では当たり前のように描かれたモチーフと思います。

そして,そのような映画の多くは主張することがなにかさえよく分かりません。詰まらないと思います。

私には小津作品でさえ,いったいなにがいいのか分かりません。
私はまだ現在37歳ですし,もっと歳がいけば分かるのかも知れません。
が,だからといってなにを受け取ったかが分からない作品よりも,なにを受け取ったかはしっかり分かり,なおかつ次の行動に続いていくような作品にして欲しいと思うのです。
ヒトに向けて何かを受け取って欲しいと思っているならば特に。
そういう問題意識は宮崎さんよりも高畑さんのほうが強いとも思うのですが,高畑さんは観客が期待するほどに感情移入できる作品を作られないため,なかなか難しいと思うのですが。

高畑さんは感情移入できる作品よりも客観的な作品を目指されていますが,高畑さんがいくら客観的に作れと仰ったところで,映画が大勢に観られるためには,一部の観客は感情移入してしまい熱狂的なファンになってしまうようなものにすべきと思います。
赤毛のアンが,自分たちは客観的に感情移入はしないように作っているつもりでも少女たちは熱狂することを示しましたので,それは不可能ではないと思います。
高畑さんはそうでないと映画が売れず,次の作品も覚束ないのですから。(いや,今度こそ引退されるかもですが・・・)

観客に熱狂してもらうために,どうしても物語には主人公を作らざるを得ず,その主人公は悪い面も持つでしょうが基本的にはグッドガイにならざるを得ないと思います。
アシタカもサンもグッドガイですし。

私が映画はじめ作品を作るとすれば,悪役はしっかり作りますが,さらに悪役の考えを丹念に掘り下げると思います。
ドイツに亡命申請している私から見れば,世界のほとんどの人々は悪役であり,宮崎さん高畑さん鈴木さんでさえ悪役に見えます。
なぜ悪役かといえば,自分の目の前に提示されているものをしっかりチェックしていないか,或いは書いたヒトの肩書きとかそういう先入観だけをチェックすることに凝り固まっているからです。

けれども,"自分の目の前に提示されているものをしっかりチェックしていないか,或いは書いたヒトの肩書きとかそういう先入観だけをチェックすることに凝り固まっている" ヒトは,日常生活において自分の悪い癖を自覚できておらず,なぜそれが悪いことなのかを丁寧に掘り下げて説明されないと分かりませんよね。

そう考えていくと,なんだか,善良な市民がどうして悪役になってしまうのかを丁寧に描く作品というものこそ必要だと思います。

たとえば映画サークルで,もう20年ほど前に,金環蝕という映画を観てまずまず面白いと思ったのですが,だからといってそれで政治が分かったかといえば分からないと思いました。
いまならばその理由が分かるのです。
それは,この映画も政治家が利権に手を染めるコトをあれこれと書いているのですが,政治家はカネが欲しいもんだ,人間とはそういうもんだという大前提で描いていて,どうしてカネが欲しいのかの掘り下げが足りないと思うのです。

ほんとうにクリーンな志を持った政治家というものは,カネなんて欲しくない,日本の国が良くなることに資すればそれでいいと思っているはずと私などは思います。
宮崎駿さんもそういうタイプの人間ですよね?
であれば,どうしてそういう志を持ったヒトがカネまみれの中に好んで入っていくのかが,金環蝕では描かれるべきところ,実は描かれていなかったと思います。

さらに,もうストーリーをちゃんと覚えてはいないのですが,金環蝕は恐らく政治家のストーリーばかりで,官僚は出てこなかったと思います。
然るに現実には,本当の黒幕は官僚と思います。

今日ふと思ったのですが,政治家は4年なり6年なりで交替がありますが,官僚は交替がありません。
政治家が交替するのですから,官僚も省庁間を越えた異動をするべきであり,そのために省庁を越えたところに人事院が存在するのではないかと思うのですが,日本は省庁間異動をよほどの例外以外はやっていません。

もちろん,政治家が日本の政治の頭脳を担当し,官僚はいわば政治家の言を実行する意思を持たない手先であるならば,官僚はブルーカラーと同じで現地採用となるため,異動がなくてもいいと思うのです。
が,現実に官僚になれた人たちは半数が東大卒だったりしているのですから,政治家以上に働く頭脳を官僚が持ってしまっていると思います。
であればこそ官僚に対して省庁間を越えた異動を頻繁にさせることこそが,腐敗を食い止めることに繋がると思います。

そうやらないからこそ,法律を守らない黒い取引があっても表には出ず,どんどん腐敗の温床になると私は考えます。
そういったところを金環蝕でさえ描かず,政治家だけの問題としてしまっていたと思います。

やはり,これからはもっと悪役をクローズアップし,悪役のうわべの考えだけでなく,悪役を取り巻く仕組みをすべて描くような作品や映画を作ることこそが求められていると思います。
それをアニメ映画で描くかは分からないのですが。
とはいえ,リアルの官僚を描くのは憚られることもあるでしょうから,それを未来の宇宙都市にうごめく黒い影,みたいな形で描くのであればなんとかなるかもとも思います。

原子力のハナシも出ましたが,宮崎さん鈴木さんは原子力のなにがいけないとお思いでしょうか?
私は,以前も書きましたが,原子力が必ず安全ではないということよりも,原子力の現場労働者を被ばく量のきわめて多い違法な状態で働かせ,命を縮めさせるという人権侵害をし続けていることこそが大きな問題と思っています。
そしてそこに原発利権が絡み,経済産業省はじめとする官僚や日立製作所などの企業が甘い汁を吸っているのです。労働者の命と引き換えに。
私はそのような原発はほんとうに許せないと思っています。

ジブリもせっかくですから,原発を正面から取り上げてみませんか?
そういう方法もあると思います。

大西秀宜

http://onicchan.cocolog-nifty.com/

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