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2013年7月27日 (土)

言い訳の物語 ー 「風立ちぬ」を観て

風立ちぬ、賛否両論があったが、今日やっと観て、これはかなりの駄作と思った。
宮崎駿が作っているとは俄かには信じられない。

巷で言われている、庵野さんの声は特にダメとは思わなかった。
そういう声を欲しがっているのだから。
とはいえそれも、声優に限定せずとも舞台などで頑張っている人々の声、そして人々がリアルに発するナマの声をも否定するものであり、正解だとは思わないが。

この作品がいちばんいけないのは、二郎は宮崎駿そのものであり、軍事にも使われかねない飛行機を好きになった自分を、堀越二郎という名前を借りて正当化していることと思った。

二郎は宮崎駿そのものだからこそ、ヘビースモーカーの宮崎駿を擁護するように、二郎が何度も何度も執拗に煙草を吸うシーンが出てくるし、宮崎駿の空への夢を擁護するように、怪しいイタリア人が執拗に出てきて夢をことさら強調するし、家庭をかえりみられなかった宮崎駿を擁護するように、奈穂子は二郎が働く姿が好きだと言い、二郎の成功と引き換えに死んで行くのである。

これらのシーンは、擁護される必要を感じている宮崎駿にとっては欠くべからざるものである。だから宮崎駿は自己の作品の試写会で初めて泣けたのである。
しかし、我々にとってこれらのシーンは冗長な枝葉末節でしかない。

このストーリーをそのまま取れば、二郎は奈穂子の命を縮めたのである。
ほんとうに奈穂子のことが好きであるならば、二郎は空への夢でさえもあっさり捨てられると思う。たとえば現代の育児休暇のように、一時的に外れるという選択肢はあるはずなのである。
宮崎駿はそんなことはできないと言うだろうが、それが家族というものだと私は思う。

もちろん、組織におればそんなことはできない、という反論もあるだろう。
けれども作品中の上司達はとても聞き分け良かっただろう?

そう突っ込めば、宮崎駿は、そこは理想像を描いただけで実際は違う、と言うだろう。

しかし私は、そういうところこそキチンと描くのが映画ではないか?と言いたい。
どうも宮崎駿は、脚本で参加した前作「コクリコ坂から」あたりから、やたら権力におもねった描きかたをするようになったと思う。
「コクリコ坂から」「風立ちぬ」に見る、どんちゃん騒ぎで正論吐けばなんとかなる、的な雰囲気に私は危機感を覚える。

テレビシリーズのルパン三世で、"四菱重工"が、ラピュタのロボット兵の原型のような兵器を作り、それをルパンが必死に食い止めるというようなストーリーがあったと思うが、権力に対抗したはずの宮崎駿が、30年以上経たあとで、権力におもねってしまったのはどういうことであろうか。

けっきょく、そのへんの政治家が資金を得て当選すると、権力を利用して利益供与するのと同様に、宮崎駿も資金を得て有名になると、権力を利用して利益供与するようになったとしか見えない。

憲法第九条は守るべきだが、その戦闘機を作ったヒトは、空を飛びたいという純粋な夢を持っていたのだから問題ない。

その論法が正しいのならば、
人々の健康は守るべきであるが、放射能をばらまく原発を作ったヒトは、クリーンなエネルギーを生み出したいという純粋な夢を持っていたのだから問題ない。
反戦は守るべきであるが、憲法改正を検討するヒトは、他国と同じくらい憲法について活発に議論したいという純粋な夢を持っていたのだから問題ない。

これらを宮崎駿はどう整理をつけるのであろうか?
一方の立場だから、もう一方の立場の意見は無視していい、ではないだろう。

私はやはり、飛行機が戦闘に使われることには、堀越二郎も宮崎駿も、イメージシーンの描写と、"夢"という言葉で逃げるのではなく、もっと真剣に真正面から対峙すべきだったと思う。
そしてキッパリと、飛行機を軍事に使って欲しくないと、映画の中で描くべきだったと思う。せめて二郎はもっと悩むべきであった。

悩みがなかったところが、宮崎駿の言い訳の物語と思う理由であり、自分の意見だけ主張して相手の意見も聞かない、慰安婦問題における歴史修正主義者達の言い分を聞くような、居心地の悪い違和感を覚えるのである。

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コメント

>私はやはり、飛行機が戦闘に使われることには、堀越二郎も宮崎駿も、イメージシーンの描写と、
>"夢"という言葉で逃げるのではなく、もっと真剣に真正面から対峙すべきだったと思う。

>そしてキッパリと、飛行機を軍事に使って欲しくないと、映画の中で描くべきだったと思う。
>せめて二郎はもっと悩むべきであった。

>悩みがなかったところが、宮崎駿の言い訳の物語と思う理由であり、
>自分の意見だけ主張して相手の意見も聞かない、慰安婦問題における歴史修正主義者達の言い分を聞くような、
>居心地の悪い違和感を覚えるのである。


「自己中な大西秀宜か言うな」だよ。ボケ。
君こそ、"自分の意見しか主張して相手の意見も聞かない"じゃないかね。

で、軍用航空機だが、最早、宮崎氏などが泣こうが喚こうが進歩は止まらない。
何しろ、『武装している無人航空機』すら存在し、実戦で使用されているのだ。

さらには、陸軍用の輸送・偵察に使う地上タイプや港湾警備用の高速艇タイプも存在する。
言うまでも無いが、これらの無人兵器は大抵の場合、武装しているか、
それを可能にする取り付け部がある。

歩兵分隊等で使う、偵察用の超小型ロボット(ゴムキャタピラ式)もある。
これは偵察専用なので、武装はしていない事が多いが、出来ない訳じゃない。

"IED(即製爆発装置)"や地雷の除去・無力化に使うロボットも使われている。

この状況で、大東亜戦争の話なんかを出して反戦を語るな。化石化しているコミーどもよ。プッ

そもそも、宮崎駿氏は映画会社の労組委員長を務めていた程のコミーなんだ。
そんな者に今更、何を期待しているんだ ? 大西"親族を見棄て逃亡している"秀宜よ。

現時は「非対称戦争(非正規戦・不正規戦)」と言う戦争形態になっていて、
技術力と生産力及び資金、各種高性能兵器の多さ、そして兵制は「志願制」の国が勝利する。
そうした国は、この戦争形態に強い特殊部隊将兵の育成や専用兵器の開発・配備にも力を入れている国が多い。

宮崎氏などの"正規軍同士の全面戦争"時代の感覚で現時に通用する訳無いだろうが。

おっと、忘れる所だったぜ。「無人兵器」には、
偵察用の電動モーター式小型機もある。

これは歩兵分隊や中隊で使うもので、
機種によっては八キロほどの距離を飛んで戻ってこれるものもある。

専用のケースに分解収容して背負って運べるようになっている。
組み立てたら、紙飛行機を飛ばす要領で投げて飛ばしたり、
伸縮性のあるそれ専用のコードで飛ばすものもある。

誘導装置はさながらゲームのコントローラーの様になっていて、
真ん中にミニディスプレイが付いており、それを見ながら敵兵や陣地を捜す。

此処まで無人機が発達していると言うのに、何が「風立ちぬ」だ。化石コミーどもよwww

大西のブログにせっせとコメントしてる奴らってなんなん?

そんなに弱いものいじめが楽しいの?

いくら目の前にサンドバッグがあるからって好き放題叩いていいのかね?

相手はものじゃなくてひとなんだよ。

猛省をお願いしたい。

叩きたい気持ちは分かるし、俺もかつてやってたが、こんなやつのことはほっといて自分の人生の充実に費やすべし。

オマエらどっちもどっちや。

ワタシはべつに弱くないが。

> そもそも、宮崎駿氏は映画会社の労組委員長を務めていた程のコミーなんだ。

ぶっぶー。
宮崎駿は、東映動画というアニメ制作会社の書記長やったの。委員長は高畑勲やったの。

それ以前に、映画の内容と現在の兵器の状況とはなんのつながりもない。
今日は天気がいいですねえ、と言われて、
私はウンコがしたいなう。私のウンコは30cmくらいの大もので、ひねり出すのに10分はかかる!
と力説するくらいトンチンカンな発言ということをちったあ認識しろ。

>名無し君へ。

まずは「馬鹿リベラルの偽装中立者」乙w
反戦与太話によって、自虐史観体制継続を図る馬鹿リベラルとコミーどもに対しては、
きちんと現時の状況を示し、連中の化石化ぶりを批判することが欠かせない。

君は大西"妄想製造工場"秀宜を庇うつもりなのか ?
日立製作所時代に自身のやらかした問題行動から、自身の親族から、
直面している現実から逃亡しまくっている大西"空談使い"秀宜を。

私は公平にやっているのだよ。
相手が精神疾患だろうが、外国人だろうがなんだろうが、
そんなもんを言い訳にすることは許さない。

大西にしろ、君にしろ、ネット上に自身の言い分を書き、満天下に晒しているのなら、
公平・対等にやらせてもらう。

差別-「差を付けて別ける」と言う原義どおりの意味-はしない。
解ったら私に対して不謹慎厨や馬鹿リベラルな態度を見せるな。指導するな。
もし、君がそれを続けるなら、大西"過去から逃げ回り続けている"秀宜と一緒に叩く。

>おーにっちゃんへ。

事実を述べているだけだよ。この手の作品で反戦思想へと洗脳しようとしている連中に対してな。

そもそも、君はこの作品を「駄作」とまで言っていた。
部分的には君と意見が重なっている事も有ると気付けよ。大西"親族を見棄て逃亡する"秀宜。

同じことを私も考えていたことがあり、やはり二朗の吸うタバコは駿さんの意思の投影ですよね。タバコ吸いやすい空気を展開したかったように思えたので。

http://inkyodanshi21.com/subculture/studio-ghibli/1667/

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