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2015年7月19日

2015年7月19日 (日)

【ネタばれあり】 「バケモノの子」感想。 映画で数年ぶりに泣きました。荒々しいですが力強い傑作です。

熊徹というすごい才能が,蓮(九太)というさらにすごい才能を発見し,九太が逆に熊徹を育てるような内容でした。

というのも,粗野な熊徹と冷静な猪王山の戦いで猪王山がボロ勝ちするのを見て,ふつうの子は猪王山を応援すると考えるからです。

然るに,ボロ負けする熊徹を九太は応援しました。
もうこの時,九太は熊徹を応援し続ける決心を固めたのだと察しました。

私はこのシーンに一番感動しました。

(・・・だから,その後で九太が熊徹についていくかどうかを悩むシーンについては無駄とも思いましたが)

ラストに向かってどういう流れになるかはあらかた見えてしまうために,最初の出会いこそが気になります。
その出会いが非常に良く描けていると感じました。

熊徹って強そうに見えて,実のところ猪王山と一郎彦に対する2回しか勝っていません。
どちらも九太の応援があってこその勝ちです。

私は,人間って連戦連勝することが大事なのではないと信じています。
むしろ後輩のためには負けを見せる方が望ましいとさえ考えます。
人間,何度かある天下分け目の大勝負で勝てれば,後は全敗してもいいのです。

熊徹と九太は,私の信じることをそのまま描いていました。

そして,ストーリーの細部ですが,前半には千と千尋の影響を感じました。
主人公が人間界から,中華街風のバケモノ界に迷い込む設定だけでなく,主人公が師匠から「蓮」という名前を無視して「九太」と名づけられたところも,「千尋」という名前を無視して「千」と,数字にまつわる名前を名づけられたところに重なります。

最後の方は,「もののけ姫」のイメージを感じました。
一郎彦がクジラになって襲い掛かったり,人物の胸に穴が開くところは,「もののけ姫」のタタリ神やアシタカのイメージです。(ハウルも似てますが)

また練習の場や戦いの場は,イタリアの街がモチーフかとも思いました。
戦いの場なんてローマのコロッセオですよね。ちょうどあんな感じでドーム状になっていた絵を見た記憶があります。

ストーリーも,単なる親子の成長物語かと思っていれば,人間の持つ闇まで持っていくか!と思いましたが,”考える葦”であるはずの人間が,考えることによって得たものは憎しみの感情だけだったのでは?とする細田さんの主張は,最初の設定からも上手く繋がっており,重く心に響きました。

宮崎駿や高畑勲の描く主人公は,苦境に喘ぐことはあっても敗北感はありませんでした。
然るに,熊徹も九太も何度もの敗北感があり,それがこの作品を荒々しくとも力強いものにしていると考えます。

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